この度、2020年(令和2年)に開催されます第44回日本高次脳機能障害学会学術総会の会長を務めさせて頂くこととなりました。わが国における高次脳機能科学の領域を代表する伝統ある学術総会を担当いたしますことは、身に余る光栄と心から感謝申し上げます。この分野における医学・医療福祉学の発展に貢献できるよう全力を尽す所存ですので、多くの皆様にご指導とご協力を賜りますよう、どうぞ宜しくお願い申し上げます。
会期は2020年11月21日(土)・22日(日)で、倉敷市にあります川崎医療福祉大学で開催する予定です。高次脳機能障害は小児から高齢者までの幅広い年齢層に及んでおり、その原因は認知症や脳卒中などの脳疾患に加えて、外傷性脳損傷や発達障害までのさまざまな病態を含んでいます。特に、わが国は既に未曾有の高齢化社会に突入し、加速する少子化と相俟って、2025年には4人に1人が75歳以上という超高齢社会が到来します。疾病のみを診るのではなく、生活の視点から障害者を支援することが重要です。活動の制限に対しては、薬物治療からリハビリテーションに及ぶ有効な治療手段を構築することが重要です。そして、職業復帰や社会参加を促進し、高いQOL(quality of life)を約束するためには、ロボットや環境機器を含む福祉サービスの向上とシステムの構築が強く求められます。そのことを考慮して、本学術総会のテーマを、「活動の増進と参加の拡大」とさせていただきました。
学術演題発表では、急性期や回復期の医学的管理から生活期の医療福祉までの多くの科学的データが発表されることを願っております。特別企画として海外招聘者講演や特別講演、教育講演、シンポジウム、パネルディスカッションを予定しております。精神科医や神経内科医、脳神経外科医、リハビリテーション科医に加えて、言語聴覚士や理学療法士、作業療法士、臨床心理士(公認心理師)などの医療専門職種の多くが発表し、討議し合える魅力的な学術総会にしたいと考えております。3,000名を超える方々を倉敷市にお迎えし、情報交換の有意義な場となることを強く願っております。
本学会の会員のみでなく、多くの皆様のご参加とご支援を心からお願い申し上げます。